ある日本人の英語

H. G. Wellsの小説「Kipps: The Story of a Simple Soul」の翻訳出版に向けた作業ブログ a one-man effort to translate a novel by H. G. Wells, “Kipps: The Story of a Simple Soul” (1905) into Japanese and publish the results

(雑談)放る(ほうる、はふる)は訓読みでしょう?

たぶん、この疑問は私ひとりのものではなく問われるのも書かれるのも最初ではあるまい、と思うのであるが、とりあえず書いてしまうのである。

まずこれは万人が同意するものと思う:

「放」という漢字の
音読はホウ(ハウ)、
訓読みは、はな

例をあげれば、放物線(ホウブツセン)、放つ(はなつ)。
この最初の例に「放物」が含まれるが、これは「物体を投げ飛ばす」という意味であり、「物を放る」と読み下すことができそうである。

何か怪しげに感ぜられた方は鋭い。
私は既に怪しいことを書き始めているのである。

放る(ほうる、はふる)はthrowの意味にして、「放物」のホウ、ハウと同じ意味である。
ならば「放」には「ほう、はふ」という読みがある、といってもよいはず。

なのに、世の中では、放つ(let go)の「はな」のみが訓読みとしているようなのである。少なくとも私の手元の漢和辞典(2点しかないけれど)は両方ともそうである。

まさか「放る」は音読だというのであろうか?
アジる、ドジる、バグるの類の語であったのであろうか?
当て字だというのであろうか?

それでは「はふる」とは読めない。

たぶん、「放る」は広く認められた漢字の読み方では説明できない広く認められた慣用的な表記ということになろう。

なお、放物線は本来「放」とは異なる漢字「拋」(8画ヘウ、ハウ)で書いたものらしい。ここで書いたことは、そちらの漢字の話であったらしい。

拙文を書きつつ、わかったことだが、現状ウィクショナリーには「放」にも「拋」にも「ほう」という訓読みが載っていた。
じゃあいいか。