ある日本人の英語

H. G. Wellsの小説「Kipps: The Story of a Simple Soul」の翻訳出版に向けた作業ブログ a one-man effort to translate a novel by H. G. Wells, “Kipps: The Story of a Simple Soul” (1905) into Japanese and publish the results

雑談:洋書売場より

昨日、洋書売場を覗いてきた。

大異変—危機に立つ国家の分岐点

Upheaval: Turning Points for Nations in Crisisという本をぱらぱら見た。どうしてそれを手に取って見ようとしたのか確かではないが、表紙の絵がいかにも日本を大きく取り上げてそうな、荒波に揉まれる船を描いたものだったせいかとも思う。内容の善し悪しは知らぬが、なかなかの商品である。

やはり日本のことがさかんに書いてあった。戦時中日本が隣国で行った蛮行が問題だと言うくだりでがまんできずに本は棚に戻した。南京大虐殺については(「日本に」否定論があるのは知りつつも)アイリスチャンさんの本とかに書いている内容を事実と認識しているようだ。もちろん地球温暖化も普通に(大概のマスコミと同じ方向で)憂えているみたいだ。。。まじめな常識人のようだ。

ちょっと調べるとUpheaval(2019)には、もう既に邦訳が出ていた。日本経済新聞出版社「危機と人類」ジャレド・ダイアモンド著。新味のない視点は気にせずまじめに読めばきっと大そう勉強になる点もあるのだろう。アマゾンの書評の星もたくさんもらっている。広告に「第28回ブループラネット賞受賞」とあるが、これは著書でなく著者(一般には「地球環境問題の解決に向けて科学技術の面で著しい貢献をした個人または組織」)に与えられるものらしい。出版側の必死さが伝わる。「本書は、地球規模の危機に直面する全人類を救うかもしれない」という宣伝文句は読者を選ぶ気がする。これはある意味、良心的である。

追記:邦訳は「売れてる」らしい。1月25日の朝日新聞に関連記事があったのを見た。手元にはなく「腑に落ちた」という表現以外(あまりに印象が薄くて)内容は忘れたが、その記事はこちらでも読めるらしい:

www.asahi.com