ある日本人の英語

H. G. Wellsの小説「Kipps: The Story of a Simple Soul」の翻訳出版に向けた作業ブログ a one-man effort to translate a novel by H. G. Wells, “Kipps: The Story of a Simple Soul” (1905) into Japanese and publish the results

雑談:メンテナンス

ウェルズのKippsを翻訳出版してみる、という当初の目的はもう達成されているように思う。しかし一方で、ときどきパラパラ読み返し、直したいところを見つけることもある。実際、電子出版のほうは、何度か若干の改良を加えている。

些細な誤字脱字、あやしい日本語の訂正が主。「明い」を「明るい」にするような、どちらでもよい送り仮名をかえるだけのこともあった。「身ぶり」が「見ぶり」となっていたのはなぜかわからない。形が似ているからなかなか気が付かなかったのだろうけど。

実質的な翻訳の改良というのは、難しい。たとえば、和訳がおかしいように見えても、原文に戻るとたいして良い案がないものもある。これは中巻三章四節の出だし。

その夜九時ごろクートはアッパー・サンドゲート・ロードにあるキップスの新しいアパートに立ち寄った―ザ・リーズの家は家具付き貸家になって―そしてキップスは売却に向け努力した。

まあこれは底本の横棒(―)の使い方がおかしいだけなのかもしれない。

About nine that night Coote came round to Kipps' new apartment in the Upper Sandgate Road—the house on the Leas had been let furnished—and Kipps made an effort towards realisation.

おそらく二番目の「―」は不要だったのだ。

紙の出版のほうもそのうち更新したい。たぶん今月できると思う。と書くだけで安心しないようにせねば...

ブログのほうは、自ずKippsの翻訳出版という話題は出にくくなるだろうから、別のことも書けるようにスコープを拡げるか、別のブログを加えることを検討したい。