いつ終わるかわからない作業:訳文の再点検(17)
キップスの邦訳につき、ペンギン・クラシクスの注部分をチェックする作業の続き。
上巻2章注17のある文(Portland)
Many a poor soul at Portland might well envy the fortunate Kipps.
キップスは幸運だと羨ましがるような哀れな者がポートランドに大勢いたとしてもおかしくない。
注はPortlandが刑務所であることを指摘。
上巻2章注18のある文(Quod ... crib)
"Lor! you find old drapers everywhere—tramps, beggars, dock labourers, 'bus conductors—Quod. Anywhere but in a crib."
「ひどいもんだ。服地屋くずれの年寄なんて、そこらじゅうにいるぞ。浮浪者、乞食、港湾労働者、バスの車掌、それから囚人だ。いないのは店の囲いの中くらいのもんだ」
注はQuod ... cribにつき、「Prison; job, place, position, respectively.」というが―――。まあ、Quodが刑務所、cribが職や仕事場を意味する、ということか。つまり「ムショにだっている。職場以外ならどこにでもいる」とでも訳すべきか?
上巻2章注19のある文(happened on evil things)
4節にはいった。
She, too, had happened on evil things.
アンも既に悪しき事情に見舞われたあとだった。
注はhappened on evil thingsにつき、ミルトン「失楽園」Paradise Lostから二行引用しそのechoであると指摘。あまり似ていない。