ある日本人の英語

H. G. Wellsの小説「Kipps: The Story of a Simple Soul」の翻訳出版に向けた作業ブログ a one-man effort to translate a novel by H. G. Wells, “Kipps: The Story of a Simple Soul” (1905) into Japanese and publish the results

(雑談)今朝、目撃:大仕事に北へ向く犬

語源再発見 昨晩から朝に掛けて、子供のとき、自分のであったかはっきりしないが、飛ばしたプロペラ・リング(正式名不明、中心からいくつか半径にハネがあってヘリコプターのプロペラのように垂直軸まわり回転で揚力を得て飛ぶ*1)が木の高いところに引掛っ…

(メモ)難破船の島、ロシア語の謎(自問自答)

これはベリャ―エフ「難破船の島」一部三章の終わりの方、殺人容疑の掛かるレジナルド・ガトリングの、彼を連行する(はずであった)ジム・シンプキンズに向けた発言。 Вам, очевидно, еще мало десяти тысяч долларов, обещанных вам за удовольствие некото…

難破船の島、再び

昨日「難破船の島」について日本語で紹介しているものを見たことがない旨書きましたが、「魔の海」という映画の紹介を見つけました。 eiga.comこの映画The Isle of Lost Ships(1929)はMaurice Tourneur製作・監督の無声映画The Isle of Lost Ships(1923)…

オストラフ・パギイプシフ・カラブリエイ──サルガッソ海、難破船の島

「ソ連のジュール・ベルヌ」*1アレクサンドル・ベリャーエフ(1884―1942)による、サルガッソ海への冒険物語Остров погибших кораблей(1926)を翻訳しようとしています。 Amazonの出版(プリント)した、露語版(Издательство АСТ, 2017、ページ番…

(雑談)なじみのあの単語にこの意味(call、regret)

生憎、残念(regret) 残念とは便利なことばです。悔いる気持は不明です。 I always regretted I didn't have a sister of my own, so perhaps I'm compensating. これはジョン・ウィンダムの小説Trouble with Lichenにあった主人公らしき新米研究者*1ダイア…

いつ終わるかわからない作業:訳文の再点検(3)

拙訳「キップス」につき、ペンギン・クラシクスに注のある箇所に対応する文をチェックする作業の続き。 tak-p-masen.hatenablog.com 注8のある文(Colic for the Day) 注9のある文(Quodling) 注10のある文(nyar, nyar, 'im-singing ) 注8のある文…

(おまじないメモ)キーボード 2 w s x キーが利かない

Windows 10のラップトップにUSB英語キーボードをつないで使おうとして2やwやsやxのキーが働いてくれないことがよく起きるようになりました。 私は最近いろいろ捨てることが多く、先々週までめったに使うことのなかったこのキーボードももうだめらしい、文字…

いつ終わるかわからない作業:訳文の再点検(2)

キップスの邦訳につき、ペンギン・クラシクスの注部分をチェックする昨日の作業の続き。 tak-p-masen.hatenablog.com 注5のある文(cubby-house) 注6のある文(Olympian) 注7のある文(drabbit) 注5のある文(cubby-house) There was a corner under…

いつ終わるかわからない作業:訳文の再点検(1)

本ブログの中心的問題であるはずのキップスの翻訳本であるが、キンドル版について、要するに「翻訳が下手くそ。改善すべし」という趣旨の評を頂いて以来、(そのおかげかはわからないが)これを買う人はほとんどいない。 先の評者氏(および同感の方々)には…

(メモ)引き出しの中から

処分しようかと思い、ずっと前から机の引き出しにあった名刺入れを開けてみたら、中身は名刺と名刺大の厚紙で、どれも裏側に英語の語句が書いてあった。そのことは覚えていなかった。出典が何かもわからない。それで語句を学ぼうとしたとしたのだとしたら、…

(メモ)教える、を英語で

思ったことを高校英語で書く 先日、いやもう何か月も前のことなのだが、若い頃よく行った書店*1の高校参考書コーナーで英作文の本を覗いていたら、こんな趣旨の文があった*2。 彼女の住所を知っていたなら教えたのに これを英語で言うのに、know(知っている…

(雑談)自動販売機の謎—昔の二か国語作文から

A strange thing happened on Friday evening金曜夜の事件(1998年2月) A strange thing happened on Friday. このあいだの金曜のことでした。 I was working overtime. 残業していました。 I bought a can of tea from the vending machine. The price was…

すみません、間違えました:「現代代数特論」初版から

リリースされたばかりの拙訳「現代代数特論」ですが、既に判明している初版の誤りを報告します。いずれも翻訳、訳注での誤りであり原著の問題ではありません。改修はしていますが、実際に修正版に置き換わるまで数日かかるであろうと思います。本の読者の方…

エミール・アルティンの「現代代数特論」

ある代数の講義録 エミール・アルティン(1898─1962)の代数の講義録(Selected Topics in Modern Algebra)がInternet Archiveで公開されているのを見つけ、どんなことが書かれているのかしらと多少、閲覧していたのですが、この四月に古書として入手して一…

オラフ・ステープルドンの「火炎」(∞ブックス)到着

先月1日に出版申請、先月末日(2021/7/31)に出版された翻訳本がついに届いた。 本の印刷の状態、外観は良好。特に、背表紙の文字は正しい場所に出ていた。 拙訳日本語版「火炎」(左)と底本「The Flames」(右) The Flames: A Fantasy 原作は1947発行…

ひまじんのバカじまん(その2):カレンダーでカウ゛ァー

先月から注文して3月3日に発売になった「チャンス─前後二編からなる物語」が3月6日夕方、ようやく発送されたという通知がありました。自分でも購入して確認するというのはNextPublishing PODにおいては推奨されている行動であります。 で、こちらは、ま…

ひまじんのバカじまん:辞書の外箱をカバーにしてハードカバー化してみた

本の外箱どうしていますか? 北杜夫「どくとるマンボウ航海記」の終わりのほう「本の話から船乗りのこと」に、本を買ったなら、そして外箱に這入っていたら、いちいち出していたのでは本を開くまでに時間がかかるし、云々で、すぐに捨てることにしているとい…

作業メモ:表紙作成にPowerPointを使ったこと

「チャンス─前後二編からなる物語」の制作は「キップス、素朴な魂の物語」とほぼ同じく、基本的にMicrosoft Officeで済ませました。 ただし「キップス」とは異なり、表紙作成にPowerPoint(以下PP)も使ってみました。 邪道だとは思いますが(むしろだからこ…

「チャンス─前後二編からなる物語」(初版)最初の数ページ

表記の本については、もうアマゾンに販売ページは出現していますが(2021.2.28現在)、なかみけんさくはまだ有効になっていませんし、有効になって扉や目次、題辞は見れても本文が全然見れないのではないかと思います*1。そこで、自力で制作したPDFではどん…

脱線:「チャンス」作業中に読み返した「どくとるマンボウ航海記」

ようやく、Joseph ConradのChance: A Tale in Two Parts邦訳「チャンス」の確認作業を終え、2月24日にPOD出版申請をした。四、五回見直したと思うがなかなか問題がなくならなかった。翻訳作業開始してから11箇月近くになる。 実は、その間「どくとるマ…

白ワイン色のガラス?

黒いカラスならぬ白いガラス? ジョセフ・コンラッド「チャンス」最終章(後編六章)に、透明ガラスを指してwhiteと形容する箇所がありました([OWC]311頁)。場面は夜、大きな帆船の船内、船長に青年が何かを説明しようとします。 The young man po…

ジョゼフ・コンラッド「チャンス」(邦題仮)第一部第四章メモ

ジョゼフ・コンラッドの小説「Chance」第一部第四章から、気になることをここに書きつけていく。ページ番号は手元の[オックスフォード本]のもの。 Chance Part 1 Chapter 4読解メモ Page 77, a riding habit Page 86, lifting that money Page 88, the pas…

ジョゼフ・コンラッド「チャンス」(邦題仮)第一部第三章メモ

ジョゼフ・コンラッドの小説「Chance」第一部第三章から、気になることをここに書きつけていく。ページ番号は手元の[オックスフォード本]のもの。 Chance Part 1 Chapter 3読解メモ Page 53, in a brown study Page 54, de Barral Page 54, There they lie…

Natsume Soseki's "Koto no sorane" in English: Beginning

A few words from the translator The following is my translation of the beginning passage of a short novel 琴のそら音(1905) by the renowned Japanese author 夏目漱石. I do this largely for fun or as an exercise of translation but shall try a…

メモ:知られざる世界の名作2?

知られざる世界の名作 H. G. Wellsの傑作Kippsの拙訳 キップス: 素朴な魂の物語*1 は中途半端にシリーズの最初の作品のつもりで「知られざる世界の名作1」としている。 同じシリーズの二番目の作品として Joseph ConradのChance を邦訳出版しようと考えてい…

メモ:ジョン・バカン「三十九階段」の献辞ほか

昔は良かった─アラムの場合 ウィリアム・サローヤンは小説My Name Is Aram第一話「美しい白馬の夏」で主人公アラムに9歳の夏の日、現実がまだ楽しく不思議な夢だったと語らせている。 One day back there in the good old days when I was nine and the worl…

ジョゼフ・コンラッド「チャンス」(邦題仮)第一部第二章メモ

ジョゼフ・コンラッドの小説「Chance」第一部第二章から、気になることをここに書きつけていく。ページ番号は手元の[ペンギンオックスフォード本]のもの。 Chance Part 1 Chapter 2読解メモ Page 30, launched Page 31, you must know, pedestrian Page 34…

雑談:ヒヨコの無駄話

多言語上達の体験本 かつてロンブ・カトー(姓名)というハンガリー人の多言語愛好家がおり、計16言語は通訳や翻訳の仕事をしたことがあるという。その著書に邦訳では「わたしの外国語学習法」という、あれこれ言語や言語学習について語る本がある(訳者は米…

雑談:たまたま誰も書かないこと

当然、何でもインターネットで見つかるわけではない。しかし、機密情報でもなく、反社会的でも、さほど専門的でもなく、この程度のことは載っていてもよいのに、と思って調べてもなかなか見つからないことがある。知っているなら調べなくてもよいのだが、あ…

アーも彼女に

これは最近の発見であるが、出発点は、すごく小さくつまらない。 ア たぶん先々週あたりだが書店で英語辞書を見ていてherの発音に気音hのないもの(敢えてカタカナ表記すればアとかアー)も挙げている辞書があることに初めて気づいた。そんなものが出現した…